高精度汎用測定用ヤング率および内部摩擦測定装置
JEシリーズ
特徴
本装置はASTMやJISに規定されている自由共振法による測定法を用いています。
自由共振法とは試料に振動与えるときの試料の保持方法が振動学における両端自由方式にあたる方式で、材料の弾性率(ヤング率や剛性率やポアソン比などの総称)に関係し、かつ材料のもつ固有振動数を共振法で測定する方式です。
試料は下図のように基本的には振動しない節の位置で試料を支持し、試料を支える節の位置は、振動学から断面一様の板や棒の場合長さに対して決まった比(端面から長さの0.224)で位置が定まります。
自由共振法でも加振や検出方法によっていくつかの種類がありますが、その方法によって振動数に影響を与える度合いが違い、精度に影響します。
吊り線式:初期に実用化され、多くのASTMやJISに図が掲載されている方式で、下図中央のように加振器から吊り下げた吊り線で試料の一方の節の近傍で吊り、もう一方の振動の節の近傍で振動検出器から吊り下げた吊り線に載せて、共振振動を計測します。支持位置が節では加振も検出もできないので、節でなく、振動する位置で吊りますから、固有振動数(共振振動数)に影響を与えてヤング率の測定結果に誤差を生じ、内部摩擦測定時の減衰にも影響を与えます。また、試料の重量や形状にも制限があります。
弊社の自由共振法は上図右のように静電力による非接触加振および振動検出も非接触で行い、試料保持も試料が振動しない節の位置に置くだけなので、純粋な共振振動数が得られ、内部摩擦測定時の振動にも全く影響を与えませんので、正確であるとともに小さな内部摩擦測定も可能にしています。
この機構は高温測定や低温測定などの制限のある測定機構にも有利で、振動検出にも環境にあった検出器を独自開発して、極低温から高温までの幅広い温度環境の中での装置開発に対応しています。
自由共振法の機種では、このほかにハンマーで加振する打撃法(インパクト法)や試料に金属を貼付して電磁力で加振と検出を行う方法などがありますが、打撃法では打撃力のむらによる振動の変化や複数振動発生による相互干渉による影響があり、電磁力型では金属貼付による誤差が生じ、測定精度に影響を与えます。
ただ、打撃法は吊り線式や弊社の静電加振式では用いにくい大型試料にはこの方法が有用なため、弊社でもIE型として製品化しています。
自由共振法は精度がよいなど多くの特長がありますが、制振材料や高温での欠陥増加により内部摩擦が高い試料の測定は苦手です。特に高温では多数の強い偽振動が生じて間違った値を出している場合があります。特に急激な弾性率の変化に追随できずに間違った波形を採取している場合があります。このような問題は弊社の高温特化型装置 EG型がお奨めです。
JEシリーズ:概略仕様
特 長 | 操作容易で高精度 広範囲な試料形状と材質に対応 微量内部摩擦測定向き 汎用的な測定装置 材料の内部欠陥の検出や検査の品質管理にも適用可能 広範囲なJIS、ASTM対応 |
測定項目 | ヤング率、内部摩擦 |
測定試料 | ほとんどの等方体対応 |
試料形状 | 測定温度や材質、機種によって制限や最適値あり 短冊状 (0.3~10)mm厚 ×(3~10)mm幅 ×(13~130)mm長 丸棒状 (0.3~10)mm直径 ×(13~130)mm長 温度変化測定装置の場合は長さが(70)mm以下です。 共振数に入るサイズの組合せが必要です。 試料材質によっては規定外の寸法でも測定可能な場合があります。 |
測定方式 | 自由共振式固有振動法 |
加振方式 | 非接触静電加振方式 |
検出方式 | 非接触音波センサー/静電容量式変位計 (測定目的による) |
共振数 | 600Hz~20kHz 20kHz~100kHz(高振動型 JEH-RT) |
試料支持 | 振動の節の細線に置くだけ |
機 種 | JE-RT(室温用) JE-HT(高温用 室温~800℃) JE-LT(低温用 -180℃~室温) JE-VLT(極低温用 5K~室温) JE-LHT(低温~高温 -180℃~300℃) JEH-RT(短試料高振動用 室温) |
そ の 他 | 内部摩擦が大きい試料や内部摩擦が増える高温測定にはEG型を推奨 JG測定部(剛性率測定)の付加で剛性率測定とポアソン比算出できます。 TE測定部(薄板・細線ヤング率測定)の付加で薄板・細線のヤング率測定ができます。 ※ 写真や仕様は改良などに伴い、変更している可能性があります ※ 上記仕様は標準仕様です。ご要望に応じて対応します。 |
高精度汎用測定用剛性率および内部摩擦測定装置
JGシリーズ
特徴
本装置は制度の良い自由共振法で剛性率を測定する装置です。自由共振法に対する考え方や加振方法、検出方法はヤング率を測定するJE型と同じですが、ねじり振動で測定するために、下図のように振動の節の位置が異なっています。また、試料形状が短冊状のみで丸棒、細線には対応していません。
本装置は測定部のみをJE-RTのコントローラ部を共用にしたアタッチメントとしても提供していて、ヤング率と剛性率の測定からポアソン比を算出することもできます。
JGシリーズ:概略仕様
特 長 | 操作容易で高精度 |
測定項目 | 剛性率、内部摩擦 |
測定試料 | ほとんどの等方体対応 |
試料形状 | 測定温度や材質、機種によって制限や最適値あり 短冊状 0.3~10mm厚×3~10mm幅×13~130mm長 温度変化測定装置の場合は長さが70mm以下です。 共振数に入るサイズの組合せが必要です。 幅はある程度広い方が測定容易です。 試料材質によっては規定外の寸法でも測定可能な場合があります。 |
測定方式 | 自由共振式固有振動法 |
加振方式 | 非接触静電加振方式 |
検出方式 | 非接触音波センサー/静電容量式変位計 (測定目的による) |
共振数 | 600Hz~20kHz |
試料支持 | 振動の節の細線に置くだけ |
機 種 | JG-RT(室温用) JE-HT等(温度変化測定等はお問い合わせください) |
そ の 他 | 内部摩擦が大きい試料や内部摩擦が増える高温測定にはEG型を推奨 JE測定部(ヤング率測定)の付加でヤング率測定とポアソン比算出できます。 TE測定部(薄板・細線ヤング率測定)の付加で薄板・細線のヤング率測定ができます。 ※ 写真や仕様は改良などに伴い、変更している可能性があります ※ 上記仕様は標準仕様です。ご要望に応じて対応します。 |